SWEET&HOT~甘いのと辛いのと~
私はまだパンフレットを見続けていた。



うげっ!先生のことシスターって呼ばなきゃなのかよ?



日曜礼拝?私はキリスト教徒じゃねーよ。



聖書黙読の時間?だからキリスト教徒じゃねーっての!



あぁ、もう!こんな学校に通ったら絶対に発狂するわ。



「…そんな難しい顔しなくても、アメスト学園は良い所だ。生徒達はお前を歓迎してくれるだろうし、お前もきっとすぐに気に入る」



別に難しい表情や感情を表に出してたつもりはないんだけど。



私はパンフレットから父へ目線を移した。



「…行くわ」



どうせ私が何を言っても…喚こうと…叫ぼうと…父は自分の意見を変えないだろう。



本当…昔から自分の評判のことしか考えてない。



中川家の評判のことしか考えてない。



私のことなんか全然考えてない。



子供の幸せを騙っては踏みにじる、最低な親だ。



アメスト学園に通うと言った私を見て、父はフッと笑う。



この男の笑みを、私はどうしても好きになれない。
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