five
小さい小那美の頭のオダンゴだけが見えていた。


人混みを掻き分けて近づいて行く。



「俺、小那美と同クラかよ〜。」

小那美のダンゴを掴んで、頭の上から呟く。

小那美は小さい体を一瞬だけ揺らして、思いっ切り振り返った。



「慧ッ!髪掴まないでよ!」





鈴木 慧
【スズキ ケイ】


もうすぐ17才になる。


幼馴染みの小那美とは名字は一緒だが、親戚とかないし、特に関係はない。



あるとすれば、俺が片想いしてるだけ。



「ともちゃんとは離れるし、慧と一緒だし、最悪ぅ。」


ブツブツ言いながら、小那美は教室へ向かっていった。

小那美は俺の気持ちを知らない。



「良かったね!慧くん!」

智子は俺の気持ちを知ってる。


小那美は鈍い。

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