five
「先生!」
あたしは慌てて追い掛けた。
「どうした?」
浅丘先生は、優しく笑って、眼鏡の奥の目を細めた。
「昨日の事件、犯人わかってるの?」
「さあ?うちの5人組の生徒だって事だけだけど?」
余裕そうに微笑んだ。
少し悔しい。
「次は気をつけるから、『秘密』にしてて!」
あたしも微笑み返してみた。
「ふっ…やっぱお前らなんだ?」
浅丘先生は吹き出すように笑った。
「さあ?秘密ですから?」
あたしがそう言うと、
「ナマイキ。」
と小さく言って、人指し指をあたしの唇に当てた。
あたしの鼓動はどんどん加速する。
「秘密な。」
また小さく言って去って行った。
あたしの鼓動はなかなか鳴りやまない…