five
携帯がテーブルの上で震えていた。
「はい、もしもし。」
『あ、菜緒?俺。』
聞きたいと願った声だった。
「き、京輔?どうしたの?」
動揺を必死に抑えようとする。
『菜緒の声が聞きたくて。』
「どうしたの?京輔?」
その言葉を聞くだけで、心臓が壊れてしまいそうだ。
『なんでもない!なぁ、女バスの美幸ちゃんのアドレス教えて?』
やっぱりそういう事か…
わかっていても、少し胸が痛い。
「わかった。メールで送るから。」
『サンキュ!じゃあな。』
ツー、ツー、…
虚しい音が耳に響いている。
大丈夫。
いつものことだから。