【短】Santa claus
ふわっとあたしの首にかけられたのは、三多がしていたマフラー。


「俺が使ってた奴で悪いけど、ないよりマシでしょ?」


「え?でもこれ…」


「いーの、いーの。俺、割と寒いの平気だし」


ニッて笑ってくれた。

三多をよく見ると…もうすぐお昼なのに、なぜかまだ鞄を持ってる。


「もしかして…今きたの?」


「そう!!もうすぐクリスマスじゃん?俺ん家忙しくなるんだ」


このときはよく知らなくて適当に返事してたけど、別に家がお店ではないってことを最近知った。


「あ、そーだ!!トイレ掃除じゃん!!はぁー…じゃあ俺もう行くね」


いきなり何の話かよく分からなかったけど、たぶん…遅刻の罰の話でしょ?


「ま、待って。このマフラー返すから、名前教えて?」


歩き始めた三多を、焦って呼び止めた。

このときは、名前もクラスも知らなかったから。


そして三多がクルリと振り返った。
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