【短】Santa claus
この辺りは住宅街で、もちろんあたしの左側にも家が建っている。

よく通る道だけど、知り合いが住んでるなんて聞いたこともない。


なのに

何で

ベランダにアンタがいるの?


「三多…?」


幻覚にしては、リアル過ぎるよね…。


すぐにあたしに気が付いて、丸い目をパチクリさせた後……


「あっれー?」


いつもの笑顔を向けてきた。


顔も声も”いつもの”三多なんだけど、その真っ赤な服と帽子って…あれだよね?


てかね、てかね?

何でそのトナカイとソリ、浮いてんの…?


「それ…サンタクロースとか言わないよね?」


サンタクロースなんかいるわけないって分かってる。

バカにされるかと思ったのに……


「あ、バレた?」


って満足そうに三多は笑ったんだ。
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