あなたのメール、代行します。
 そんなバカな。こんなこと、あっていいのか? 芽衣さんって……。


「あの、あの、もしかして、違いました? えっとえっと、何て謝ったらいいのか、その、その、ありがとうございます」


 謝ってねえし。でも、このキャラクター。間違いない。芽衣さんは……。


「あ、お、俺、ナイトです。芽衣さん、だよね?」


「そうです! あはは、ナイトさん、はじめまして!」


「芽衣さん、俺、初めましてじゃないよ」


「あはは、そうだよね。メールでもおはなししたもんね」


「そうじゃなくて……俺のこと、覚えてない?」


「えっとえっと、その……なんのことだろ? えっとえっと、ありがとうございます」


「そりゃ覚えてないよね。4月にちょこっと話しただけだし」


「4月に……? あ……」


「思い出してもらえた?」


「私、今年の4月1日、うそつくの忘れちゃった」


「知らないけど! 別にいいじゃん、忘れても! 書道だよ、書道」


 俺はあの日からずっと、この人を探してきた。まさか、こんな形で出会えるなんて、思ってもみなかった。


「書道サークルの新入生歓迎コンパで、話したんだけどな」


 信じられないけど、間違いない。




芽衣さんは……幻の先輩だ。
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