あなたのメール、代行します。
 映画が終わると、「えっとえっと、どこかでなにか飲みながらおはなししない?」という可愛い提案により、近くのコーヒーショップに入った。

どこにでもある、普通のチェーンストアだ。俺、こういう店に来たの初めてなんだよね。

注文方法もよくわかんないし。あ、芽衣さん、1人で注文行かないで! 僕を1人に しないで!


「えっとえっと、キャラメルマキアートグランデエスプレッソショットとホイップクリーム追加でください」


 え、何ですか、今の呪文!? わかんない! どうすればいいの!?

僕、こう見えて実は魔法使えないんだけど、どうすればいいの!?


「お客様はご注文お決まりですか?」


 くっ、しかたない。こうなったら、あの必殺技を使うしかない。

こんなときのために俺が考えた究極の呪文。


「お、同じので」


 ふぅー、あぶねい。なんとか注文を切り抜けたぜい。芽衣さんがスペルマスターで良かった良かった。


「ねえねえ、ナイトくん、窓際の席でいい?」


「もちろん!」


 え、ていうか、こちらこそいいんですか? 丸見えだよ? 俺たちが一緒にいるの、丸見えだよ?

あ、街行くみなさーん、こっち見てー! 俺、幻の先輩とデートしてますよー!
< 30 / 52 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop