あなたのメール、代行します。
「まったく、なんでオレはナイトみたいなヤツを勧誘しちまったんだ……」


 大仏男がブツブツ言いながら、半紙を広げ、「後悔」という文字を書く。

その字はけっしてうまくない……ってか、ヘタだ。なんでおまえ、サークル長なんかやってんの? って聞きたくなるくらい。

まあ、大仏マンが自分で作ったサークルだから当然なんだけど。


「大仏さん、そいえば聞いたことなかったよね。なんで書道サークルなんかやろうと思ったん? 書道部もあるのにさ」


「別に、なんとなくさ。ほら、オレ、字がうまいわけじゃねえし、上手さを追求してるわけでもないから、“部”に入るのは違うかなーって」


「ふーん。ま、興味ないけど」


「ちょっ、ちょちょーい! 興味ないって……上司の自慢話を聞かされて、なんか質問しなきゃいけない空気だったから、しかたなく質問した部下か! まったく、ホントにさ、なんでオマエ、うちのサークルなんか入ったんだよ」


「そんなん、何度も言ってるじゃん。いまさらわざわざ聞くことじゃないだろ」


 俺がこのサークルに入った理由はただひとつ。

書道がそこそこ好きだったのと、あとひとつ。あ、ひとつじゃなかった。まあいいや。


「俺が入ったのは、幻の先輩がいたからだよ」
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