夢でもいい
唇を離して、翔太はみちるを見つめた。
2、3秒見つめ合い、またふたりは唇を重ねた。

みちるはなすがまま、といった状態だった。

はじめてのキスは、もっとロマンチックで、うっとりするシチュエーションでするものだと思っていた。

そんなことを考えていたら、事態が一辺した。

背中に衝撃が走るような感覚が伝わった。

今まで感じたことがない感覚。

翔太の舌が、からみついてきた。

―これって…―

「…んっ」

からみついてきた舌から、逃れればいいのかどうか考えているうちに、頭がクラクラしてきた。

息ができない。

「…ん、…はぁ、まって苦しい」

みちるは翔太を振り切るように、顔を離した。

息も絶え絶えに翔太を見て、ドキッとした。

瞳がとろっとしたようでいて、熱がこもったような瞳。

男の子を色っぽいと感じたのははじめてだった。

胸の動悸が早くなり、みちるは上手く呼吸ができなくなった。

荒くなりそうな呼吸を、抑えるのに必死でとても苦しそうに呼吸をした。

翔太の顔を、恥ずかしくて真っすぐみれず、顔を横にそむけた。

息を小さく切らして、恥じらうようなみちるが、たまらなく愛おしくなり、翔太はみちるを抱きしめた。

力強く抱きしめると、唇を重ね、舌をからめてきた。
不思議なことに、今度はみちるも驚かなかった。

―なにも考えられない…―

動悸が早くなり、息も荒くなると、その音が考えるのを邪魔した。

静かな部屋にふたりの息づかいだけが広がった。

翔太は唇、おでこ、頬と映画のワンシーンにあるように小さいキスをみちりにした。

くすっとみちるが笑うと、翔太も優しく笑った。
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