夢でもいい
翔太は意地っ張りなみちるが甘えられるように、先回りして逃げ道を作るのが上手い。
一緒に帰る時も、一緒に出ると昇降口でひやかされるのをみちるが嫌がるので、先に出て待っていてくれる。
お願いしたわけじゃなくても、相手の気持ちを感じ取りやってのける翔太のすごさに、どれだけのひとが気付いているのだろう。
いや、わたしだけだろうと、みちるはひとりほほえんだ。
翔太と付き合うことを、先週の昼休みに加奈子と七海に報告すると、即反対意見が噴出した。
「やめなよ!あいつ、南高校の女と別れたばっかだしさ、その前は同中のリカと付き合ってたらしいし…。」
と、七海が言うと、加奈子もすかさず付け加えた。
「そうそう、途切れる間がないってゆーかさ、やつは処女膜撃破するのが趣味だなんて、ひかるが言ってた!」
加奈子の発言を聞いて、みちるは飲んでいたミルクティーを大量に飲み込んでしまった。
「…っ、げほげほ!」
「大丈夫?!」
「加奈子が、いきなり話したからビックリしたんじゃん!」
「だって、ひかるから聞いたんだもん!ウソじゃないよ!」
七海は、あんたは…と、加奈子を批判的な視線で見つめた。

「…げほ…、七海いいの。加奈子、知ってるよ。そのウワサは。」
ふたりは目を大きく見開いて、みちるを見つめた。
この子どうしちゃったの?!って言いたいのが、分かる。
まくし立てられる前に、みちるから話しはじめた。
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