氷の女王に誓約を

毛先が跳ねた癖っ毛。色素が抜けた薄茶色の髪。


触ってみたら想像していたよりサラサラで、もしかしたら私よりもサラサラかも。


女子としてはちょっと悔しいが、触っていて心地いい。


「朝ちゃんっておばさん似だよね。癖っ毛でちょっと茶色が入ってて」


「そうかな?」


「そうだよー。で、タクちゃんはおじさん似。猫っ毛の綺麗な黒髪で、まじリスペクトっす」


「ははっ。でもあれはあれで大変らしいよ。髪の毛全然立たなくて、試合の時とかワックスとスプレーめっちゃ使うって。いっそのこと伸ばして美優姉みたいにお団子にすればいいのに」


「その発想はなかった」


髪をワシャワシャ掻き乱す。


「でもタクちゃんってほんとハイスペック人間だよね。振り付けも自分で考えて、衣装のデザインも自分で描いて、ちゃんと成績も残してる」


「うん。そうだね」
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