氷の女王に誓約を
そうとうご立腹の御様子?
ドライヤーを止めて、肩越しに朝ちゃんの表情を確認する。
ムスッとした表情。視線は前を向いたままで、私と目を合わせようとしない。
わ、わからん。思春期の男の子の気持ちなんて全然わからないですお母様。
これが反抗期という奴なのか? こんな突然ツンケンするようになるの?
頭の中はグチャグチャでパニック状態。
内心アワアワしていると、ポツリと独り言のように朝ちゃんが言葉を発した。
「……タク兄の話ばっかり」
「え?」
あまりにも小さな声だったので聞きとれなくて。
聞き直そうと口を開きかけたが、言葉が発せられることはなかった。
反転する景色。