氷の女王に誓約を

そうとうご立腹の御様子?


ドライヤーを止めて、肩越しに朝ちゃんの表情を確認する。


ムスッとした表情。視線は前を向いたままで、私と目を合わせようとしない。


わ、わからん。思春期の男の子の気持ちなんて全然わからないですお母様。


これが反抗期という奴なのか? こんな突然ツンケンするようになるの?


頭の中はグチャグチャでパニック状態。


内心アワアワしていると、ポツリと独り言のように朝ちゃんが言葉を発した。


「……タク兄の話ばっかり」


「え?」


あまりにも小さな声だったので聞きとれなくて。


聞き直そうと口を開きかけたが、言葉が発せられることはなかった。


反転する景色。

< 123 / 400 >

この作品をシェア

pagetop