氷の女王に誓約を

朝ちゃんの身体が陰になっているけれど、それでもハッキリ確認できるほど、朝ちゃんの顔は真っ赤に染まっている。


そして、多分私も……。


全身の血液が忙しなく流れている。心臓がバクバクうるさい。


試合の時だって、世界選手権の時でさえ、こんなに動悸は酷くなかった。


これはなに? でも、一つだけわかったことはある。


周りから鈍感だと言われる私でもわかる。


朝ちゃんの好きは、友達や姉弟の好きじゃなくて。


男の子と女の子の、好き。


恋愛感情としての、好き。


「美優」


消え入りそうな声で、そっと囁かれた。


始めて呼ばれた「美優」という言葉。


タクちゃんしか呼ばない、私のちゃんとした名前。

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