氷の女王に誓約を

「なんかっ……嫌に、なって。胸がっ……ムカ、ムカして。気付いたらっ……押しっ……倒して、て」


「テメー表に出ろ!」


「黙れ」


今にも飛び掛かりそうな大介の頭を押さえつけ、無理やり椅子に座らせる。


押さえつける手に少し力を込めたら、大介も大人しく椅子に腰かけた。お利口だ小僧。


だけど、朝飛がミューを押し倒す?


あのヘタレ天然無自覚野郎の弟が、こんな大胆な肉食系男子だったとは驚きだ。


というより、朝飛がミューに対してそういった感情を持っていたことが一番の衝撃である。


面倒だと愚痴ってはいたが、なんだか面白そうじゃないか。


「それで、押し倒してどうしたんだ?」


「俺だけをっ……見て、って。タク兄のっ……話はっ……聞きたく、ない、って」


「それでそれで?」
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