氷の女王に誓約を

「美優、姉がっ……好きっ……て」


「なにが好きだこの野郎!」


「だから黙れ」


またしても朝飛に飛び掛かりそうな大介の頭を押さえつけ、無理やり椅子に座らせる。


今一番面白い所なんだ。告白すら出来ねえクソガキは大人しく話を聞いてろ。


「告白したわけか。それで、ミューちゃんはなんて返事を?」


「わかんないっ……て。だからっ……もう、一回。アイラブっ……ユーって」


すでに真っ赤になっている顔を、さらに赤らめながら朝飛は言う。


俺は思わず噴き出しそうになったが、話を聞きだしている手前懸命に堪えた。


今時英語で告白? いつの時代のトレンディードラマだよ。


だけど、ロンドン生活の長い朝飛ならではの恋愛術だ。


自分の気持ちを素直に相手に伝えるには、遠回しな表現が多い日本語よりも、ストレートな表現しかない英語の方が伝わりやすいかもしれない。
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