氷の女王に誓約を
それが勇気を出して告白してくれた、朝ちゃんに対する最低限の礼儀。
でもさ、わかっちゃいるけどさ。
「返事なんて出せないよぉ……」
朝ちゃんのことは大好きだ。心の底から大好きだと自信を持って断言できる。
でもそれは姉弟愛というか、家族愛というか、多分そういうものなんだ。
少なくとも今まではそうだった。
血は繋がってないけれど、本当の弟のように接してきた。これからもそのつもりだった。
けど……。
「自分の気持ちがわからないの。朝ちゃんは小さい時から『美優姉大好き』って言ってくれて、それで『私も朝ちゃんが大好き』って心の底から返事をしてた。
だけど今回の告白で、朝ちゃんの大好きが姉弟としての大好きじゃなくて。一人の人間として、安西美優という人間が大好きだってことがわかった。
けど、私なにも言えなかった。凄くドキドキして、困惑して、なにも考えられなかった。なにもかもわかんなくなった。
告白される前は、朝ちゃんは“弟として大好き”って断言できたけど……今は答えられない。
好きだけど、大好きだけど、その“好きの定義”がわかんなくなっちゃったの」
最初は突然の告白で、動揺していたんだと思ってた。