氷の女王に誓約を

おかしい。絶対おかしい。


そしてもう一つ。


「……て、美優が言ってたなぁ」


その瞬間、朝飛の身体は硬直した。


呼吸も止まったんじゃないかと心配になるくらい、ピクリとも動かない。


朝飛は「美優」という単語に異常なほどの反応を示すのだ。


美優とケンカでもしたのか?


でも美優を神と拝めている朝飛だ。これまで一度も美優とケンカをしたことなどないし、俺が知る限り朝飛が誰かとケンカをしたということは耳にしたことがない。


おかしいなあ。なにがあったんだろう。


聞き出そうにも、この状態ではまともに会話すら出来ないだろう。


美優本人から聞き出そうとも考えたが、美優も美優で朝飛の話題を出すと、話を逸らそうとしだす始末。


二人の間になにかがあったに違いない。
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