氷の女王に誓約を
ブロック大会と全日本ジュニアなら、朝飛の力量を考えれば多分大丈夫だろうけど、このままの状態で全日本に行ったら表彰台など夢のまた夢。
「もうすぐ試合だけど調子はどうだ?」
「え……うん。まあまあかな? 調子は上がってきてるし」
肉体面では問題ないようだ。
少しずつ身長も伸びてきてジャンプの軸がズレ始める時期だが、その日その日でキチンと修正出来ている。
朝飛の身体能力の高さと、大塚さんの経験豊富な知識とスキルで、通常では考えられないスピードで軸の修正を可能にしている。
急ごしらえのチームではあったけれど、二人の相性は想像した以上に良かったみたいだ。
ポテンシャルは高いが場数が少ない朝飛と、コーチ経験はないが知識と経験が豊富な大塚さん。
互いに互いを補っていて、良い関係を築いている。
「タク兄は? 初戦はNHK杯でしょ」
「うーん……調子は良いんだけどジャンプがな」