氷の女王に誓約を

「もうわかってるから……聞きたくない……」


今にも消え入りそうな弱弱しい声。


はぁっと溜息をついて、私は朝ちゃんの手を掴んで無理やり耳から剝した。強行突破。


片腕しか取れなかったけど、片耳あれば十分だ。


私の声がちゃんと届けば、それで。


「結論から言うと、保留です」


言い終わってから気がついた。


あっ、これ答えになってないじゃん。


「朝ちゃんのことは凄い好きだよ。それは本当。だけどそれが恋愛感情の“好き”なのかはわからない。でもね、特別な“好き”であることは確かなの。矛盾してるかな?」


朝ちゃんをフルフルと首を横に振ってくれたけど、きっとわかっていないだろう。


本人だってまだよく理解していないのだ。


この複雑な心境がわかるほど、私も朝ちゃんもまだ大人じゃない。まだまだケツの青いクソガキだ。
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