氷の女王に誓約を

朝ちゃんはそういう“目”を凄く気にする子だ。


止めないと。折角調整が上手く行っているのに、こんなことで調子を崩されたら取り戻すのが大変だ。


体力には自信がある。早くとっ捕まえて写真を削除させないと。


男は角を曲がり、姿を一時見失う。


すぐに私も角を曲がると、想像だにしていなかった光景に思わず足を止めてしまった。


「……野田さん?」


壁に寄りかかりながら、一眼レフのデジタルカメラを物色する野田さん。


そして野田さんの足元には、うつ伏せに倒れているあの男がいた。


ど、どゆこと?


「いってぇな! なにすんだこのアマ!」


男が声を荒げる。


急に叫ぶからビクッとしたが、野田さんは冷静に言葉を紡いだ。
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