氷の女王に誓約を
まだプログラムが完成していない。
頭の中では大まかな構成は完成しているが、それを実際に滑って変更や修正をし、さらに有香さんに見せて細かな調整を施してもらわなければならない。
そして完成したプログラムを身体に叩きこませ、全体の流れをもう一度確認してさらに微調整を……。
無理だ。後一週間ちょっとで出来るものじゃない。
頑張れば形だけはなんとかなるかも知れないが、肝心の有香さんと暫く会うことが出来ないのだ。
コーチ兼振付師として多忙を極めている有香さんと時間の調整が出来ず、今度会えるのはNHK杯が終わった二日後。
どう考えても間に合わない。
新しいブレードに対応するのが遅すぎた。慎重になりすぎたの方が正しいかも知れない。
お陰でジャンプに対する不安は薄れたが、代わりにFPが犠牲となったのだ。
そこでコーチと緊急会談をし、NHK杯のFPは昨シーズンの『仮面舞踏会』を持ちこすことに決定した。
自国開催の、しかもシーズン初戦の大きな国際大会。