氷の女王に誓約を
GPFで日本人最上位で表彰台に立てば、代表に内定。
仮に内定を貰えなくとも、選考基準の③にある『GPF進出者』という項目で、一歩リードすることが出来る。
当面のライバルは羽生さんと大介の二人。
二人とも二年連続でGPFに出場しているし、ランキングも俺より上。
少しでも選考委員にアピールしなければ、俺が五輪に派遣されることはないだろう。
「今年のNHK杯は好条件だからな。逆にここで表彰台に上れなかったら、五輪なんて夢のまた夢だろ」
NHK杯はGPSの初戦。どの選手も調整段階で皆本調子ではないはずだ。
しかも世界選手権二位の有力候補が怪我で欠場を表明。
GPSは世界選手権1~3位、4~6位の選手は試合が被らないようになっている。
つまりNHK杯には、俺を除く世界選手権上位五名が出場しない。
おまけに俺は自国開催。これ以上のチャンスはない。
だから余計、フリーの不安要素が心配なのだ。