氷の女王に誓約を
いくら大塚さんとはいえ、現役を離れた人がここにいるのはありえないことなのだ。
「嗚呼、まだ言ってなかったね。今日からアシスタントコーチになったから宜しく」
「あ、そうなんですか。宜しくお願いし……」
ん? ちょっと待て。
今日からアシスタントコーチ?
……え?
「えぇええええええ!?」
聞いてない! そんなこと全然今まで聞いてない!
そもそも大塚さんはプロスケーターで、つい最近現役を引退したばかりで、日本のスケート界を引っ張ってきた偉人で、そもそも俺にとって憧れの人兼最大のライバルでもあったわけで。
そんな凄い人が俺なんかのコーチになるわけがない。ありえない。
「ど、どういうことなんですか!? 説明してください!」
「いやぁ、実は本田先輩に頼まれてさ」