氷の女王に誓約を
無論そんなことはルールブックには明記されていないが、これが現実だ。
芸術面を競う競技とはいえ、スポーツであることに変わりない。
高い技術を持つ選手が表現面でも評価されるのは当然のことだ。そもそも技術がなければ、身体全体を使った表現など出来るわけがない。
そう考えると、高い技術を持つ選手=実績がある選手の演技構成点が底上げされるのはなにも不思議なことじゃない。然るべき当然のことだ。
だがタクは決して実績がある選手とはいえない。
GPSでの表彰台は未だ0。世界選手権で四位入賞、四大陸選手権で二位となったが、それだけじゃ実績があるといはいえない。事実ワールドランキングは下位の部類だ。
かといってナショナルチャンピオンでもなく、どちらかといえば日本の三番手。
積み上げた物がほとんどない状態。
それでも演技構成点が伸びたのは、全選手中トップと断言できるスケーティング技術。その滑らかなスケーティングを軸とした表現力が評価されたからだろう。
ファイブコンポーネンツはまだまだ伸びる。これから伸びる。
本人もまだブレードの変更と試合の緊張で本調子じゃない。