氷の女王に誓約を
これはもしかしてイケるんじゃないか?
淡い期待。沸々と湧きおこる胸の高鳴りを一旦抑えて、気持ちを明日のフリーを切り替える。
駄目だ。ここで俺が調子に乗ったらタクにも伝染する。
問題はFPだ。
マイナーチェンジを行ったプロの持ち越しだが、演技時間が長くなりジャンプの要素も五つ増える。
まだジャンプが完璧に戻ったわけじゃない。体力的にキツイ後半で、SPのようなジャンプが跳べる可能性は正直低いだろう。
「帰ったらすぐにフリーの練習だ。今の演技は一旦忘れろ。いいな」
タクは頷きプレゼントを抱きかかえてバックヤードへ下がる。
結局この日のSPはタクのトップ。二位とは五点の差をつけた。
トップ通過とこの点差がFPの演技にどう影響するか。
―――考えただけで胃が痛くなりそうだ。