氷の女王に誓約を
他の仕立屋さんに頼むという手もあったけど、それはそれで時間もかかるしお金もかかる。
本格的な衣裳とはいえ、ママメイドだから安上がりになっているのが現状だから、貧乏スケーターの俺は母さんのスケジュールに合わせるしかないのだ。
長男ってほんど不憫。ほんとに。
衣裳が間に合わなかったのは残念だけど、ようやく中国大会で新プロが披露できる。
NHK杯のような不安や緊張は今のところない。
それより今は、早くこのプログラムを滑りたというワクワクした気持ちのほうが強い。
日本に続き、中国でも美優が参戦する。
出来ればまた二人で表彰台に上がりたいけど、二度も幸運は続かないだろう。
けどファイナル出場ぐらいは、夢見ても許されるよな?
色々考えていたら、車窓から空港が見え始めた。
そろそろ到着。
と、ポケットにしまったケータイ電話がブルブルと震えだした。