氷の女王に誓約を
どうやら電話のようで、バイブが延々と鳴り響く。
パカッと開くと、ディスプレイには『朝飛』の文字。
一体何の用だろう?
気にはなるもののここはタクシー。
少し電話に出るのを躊躇ったが、空港に着いたら電話をかけ直すのを忘れてしまうだろうから、通話ボタンを押して小声で対応した。
「もしもし、朝飛?」
次の瞬間、俺の耳に飛び込んできたのは……。
『ど、どうしよう……どうしようタク兄!』
動揺した弟の声。
「朝飛?」
『俺、どうしたらいいか……』
胸騒ぎがした。