氷の女王に誓約を

夜もふけて面会時間は過ぎていたが、特別に今日一日だけ病室に泊まることを許された。


朝飛は椅子に座りながら、母さんのベッドに身体を預けて夢の世界。


あれだけ泣き続ければ疲れも出る。まして目の前で母さんが苦しみながら倒れたのだ。精神的にも堪えただろう。


看護師さんから借りた毛布をかけて、テレビ台の空いたスペースに置いたケータイを手に取った。


父さんに電話しようか迷った。


病院に着いた直後は俺自身も動揺していたし、朝飛を宥めるのに必死で父さんに連絡することも出来なかったし。


術後も病院から手術のことやら今後のことなどの話を聞いていたので、連絡するということすら忘れていた。


やっと一段落ついたと思ったら、今度は試合のことでコーチや連盟の人達と相談しなければならなくて、気づいたらもうこんな時間。


食欲がないという朝飛に無理やり晩御飯を食べさせて、朝飛だけでも家に帰そうかと考えたが、誰もいない自宅に一人っきりというのも可哀想なので、朝飛も病院に一泊することになった。


こんな時、美優のおばさんがいれば心強かったが、生憎おじさんとおばさんは応援と観光をかねて美優と一緒に中国入り。
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