氷の女王に誓約を

「……という感じだけど、なにか質問は?」


一方的に喋り倒して、質問タイム。


説明を終えた頃には母さんの意識もハッキリしていて、上体を起こして壁にもたれかかっていた。


余り身体を動かさないほうがいいけど、逆に考えれば術後でこれだけ元気ならもう大丈夫だと勝手に解釈。肩の荷がまた一つ落ちた。


「そっか。随分心配かけちゃったのね」


スッと手を伸ばし朝飛の頭を優しく撫でると、そのまま下に手が行き頬を撫でた。


「涙の跡。ロンドンで成長したかと思ったけど、泣き虫なのは変わらないのね」


「ほんとにな。朝飛がロンドンに行きたいって言った時は皆で猛反対したっけ。お前みたいな泣き虫が異国の地で暮らしていけるわけないって」


昔のことを思い出す。


あの時は我が家に隕石が落ちたんじゃないかってくらい、もめにもめたっけ。


絶対付いて行くと譲らない朝飛に、断固反対の姿勢を崩さない母さん。
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