氷の女王に誓約を

学生結婚。結婚に至った要因は妊娠。


所謂できちゃった婚というやつだ。


疎遠となった理由はこれだろう。寧ろこれしか考えられない。


次々と語られる衝撃の事実に当時の俺は受け止めきれず、なにも分かっていない様子の朝飛の手を強く握りしめていた。


けれど爆弾は、思わぬところで破裂する。


『この前たまたまおばさんと会ってね、少し話をしたの。元気そうにしてたわ。憎まれっ子世に羽ばたくって言うものね』


『そう……お母さん何か言ってなかった? どうせ私の悪口だろうけど』


『そうね。結構酷いこと言ってたわ。耐えきれなくなって私「でもお孫さんには会いたいでしょう?」って話を逸らそうとしたら……』


『なに? 教えて』


『余り言いたくはないけど……「売女から生まれた子供なんて、どうせロクでもないに決まって。穢わらしい」って……』


あの時見せた母さんの顔は、今でも忘れない。
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