氷の女王に誓約を
これで一先ず不安要素はゼロ。万全の状態で全日本に挑むことができる。
「して、勝算のほどは?」
周りで俺とヤマトしか履修していなかった授業が休講になり、次の授業までの間学食で過ごすことに。
「ぶっちゃけ不明。フリーに至ってはまだ試合で滑ってすらいないし」
課題の山に手をつけながら答えると、ヤマトは「まずは課題を倒さないとな」と苦笑いを浮かべた。
試合と練習の過密スケジュールで、秋学期に入ってからはなかなか課題に手が付けられない状態になっていた。
本田コーチは「アメリカはどんな競技も文武両道が基本だ。四年で卒業出来ないくらいならフィギュアは辞めろ」というアメリカンな思考の持ち主なので、シーズン中でもなるべく授業には出席している。
出場した大会がNHK杯だけだったからなんとか追いついていけてるが、もし中国大会にも出場して、あまつさえファイナルに出場していたら、流石にこうはいかなかっただろう。
もしもの時のために、春学期で取れるだけ単位を取っておいて正解だった。
「そうだ。お前の弟の誕生日っていつだ?」