氷の女王に誓約を
そっか。男子選手の衣装か。どうりでデカイと……。
「えっ、男子選手ってまさか」
「そう。タク、あんたの衣装よ」
なんだ俺の衣装か。
最初に頭の中で浮かんだ言葉は、喉の奥で飲み込まれた。
母さん、さっきなんて言った?
「生まれて初めて一から作った」って言ってたよな?
「うそ……」
「お気に召してくださいましたか?」
悪戯な笑みを浮かべながら母さんは感想を求めてくるが、俺は衝撃的過ぎて言葉が出なかった。
だって母さんは女子専門の衣装屋で、俺の衣装を作っている素振りなんて微塵も感じなかったし。
それにこれ、凄く手間がかかってる。