氷の女王に誓約を

男子のデザインは考えられないんじゃなかったっけ?


まさか、俺が五輪に行けるよう願掛けの意味も込めてこれを……。


「いやー、海外の男子選手から衣装制作の依頼が結構来ててね。やっぱプロとして男女差別はいけないと思ったわけだけど、いきなり男子の衣装作って手渡すのは不安じゃない? だから試しにタクの衣装を作ってみたの!」


少しでも感動した俺が馬鹿だった。


要するに俺は実験体ですか。男子用の衣装を上手く作るための練習ですか。


結局泣きを見るのは俺の運命というわけですか。


「へぇ~。でもすっごくカッコイイ!」


「でしょう? 最初はどういうデザインにすればいいか悩んだんだけど、後半はもうノリノリでね。ズボンのキラキラと腰布で下半身までゴージャスにしてみたんだけど、これがなかなかイケるでしょ?」


結局男子も母さんの趣味全開じゃねーか。


と、ツッコミそうになったが堪えた。


理由が試作品の製作だとしても、俺のために一から作ってくれたのは嬉しいし。
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