氷の女王に誓約を

大丈夫。こう見えて大一番には強い方だ


世界選手権では四回転を決めて四位に入った。NHK杯ではジャンプが本調子ではない状態で優勝できた。


だから今回も大丈夫。というか、安全策に入ったらモチベーションが下がって最悪の結果を生むかも知れない。


納得してない状態で試合に挑んでも勝てるわけがない。


だからこれでいい。俺が跳びたいんだから跳べばいい。


好きにしろと本田コーチが一言告げると、先ほどよりも大音量の歓声が耳に飛び込んだ。


羽生さんの演技が終わった。それも最高の出来のようだ。


二人演技を挟んで、最終グループの四番滑走者は大介。


次に朝飛が滑り、フリーも俺が最終滑走者となった。


また最終滑走かとも思ったけど、朝飛の次ならまだいいやと安堵する。


羽生さんや大介が素晴らしい演技をするのは目に見える。その後に滑る嫌な空気は出来れば味わいたくない。