氷の女王に誓約を

拍手に包まれる会場。朝飛は腕を下ろしながらガッツポーズを決めると、


「あっ」


コケた。


照れ臭そうに頭の後ろの掻きながら、ゆっくりと立ち上がる。


足元はフラフラ。体力的には限界をとっくに超えていたようだ。


そりゃそうだ。4T・3A-1Lo-3F・3A-3T・3Lz-2Lzの四つの大技を跳んだんだ。疲れない方がどうかしている。


それでも労いの拍手と歓声、多少の笑い声とプレゼントの雨が朝飛を優しく支えている。


花束を受け取って意気揚々と出口に向かう朝飛と目が合った。


口元に弧を描きながら、ゆっくりとこちらに近づく。


朝飛が右手を挙げるから釣られて右手を挙げ、通り過ぎ様にハイタッチを交わした。


お疲れ様。良くやったよ。


心の中でそう呟いて、出口に向かう朝飛を見送り、ジャージを脱いでリンクに降り立つ。
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