氷の女王に誓約を

リンクの状態を調べるようにゆっくりと滑り出す。


時間が経っているが良い状態だ。俺好みの固さで氷の状態は万全。


だけど意識はすぐに外の方へ向けられる。


演技に集中したいところだが、それよりも朝飛の得点の方が気になってしまうのだ。


ここで羽生さんを抜かせば表彰台は確定。羽生さんの下に付いたら、俺の演技によって順位が決まる。


けど五輪代表に選ばれるには、朝飛の場合は現実的に考えて優勝が絶対条件。


仮に表彰台に登ったとしても、ジュニア選手でシニアでの実績がない朝飛ではまず選ばれることはない。


大介の得点を超すには177.52以上を出さなければならない。


少し厳しいか? どうだろう。


アナウンスが響く。


身体を動かしながらも目は自然と電光掲示板に移り、得点の発表を待つ。


177.52。バンクーバーへのボーダーライン。
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