氷の女王に誓約を

要素の繋ぎもふんだんに盛り込んで、それになによりあの存在感。


若造には出せないオーラが、羽生の演技構成点を引っ張った感じだ。


表現の面では、西野と比べこちらに分がある。


世界一のスケーティングスキル、途切れることがない演技、音感と音楽の独自の解釈、有香と共同で作り上げた振り付け。


SPの時点で、表現力に定評がある羽生にも彼のミス有りとはいえ演技構成点はタクが勝っていた。


表現面ではこちらが上のはず。おまけにSPの点差も少ない。


逆転への扉は開けられている。


不可能なことなどない。後は扉をくぐるだけなのだ。


だから、目の前の光景に目を疑った―――



< 343 / 400 >

この作品をシェア

pagetop