氷の女王に誓約を
「あ、全然大丈夫です」
タクのは……は?
あっけらかんと言い放つ。
口から出まかせというわけでもなく、その声色は気の抜けたものだった。
なんでこんな冷静でいられる? ここは普通パニックになる所だろうが。
逆に俺が混乱してしまい、脳内には疑問の波が押し寄せる。
こいつの思考回路はどうなってやがんだ?
「逆に吹っ切れました。これでもうあれこれ考えなくてすみますし」
「吹っ切れたって。お前、それって……」
「もしも逆転出来たら、打ち上げの焼き肉おごってくださいね。もちろん朝飛の分も込みで」
屈託のない笑みを浮かべると、結び直した靴紐を確認するように足首を動かす。
それじゃあ行ってきますと明るく告げて、タクはリンクに戻って行った。