氷の女王に誓約を

「あ、全然大丈夫です」


タクのは……は?


あっけらかんと言い放つ。


口から出まかせというわけでもなく、その声色は気の抜けたものだった。


なんでこんな冷静でいられる? ここは普通パニックになる所だろうが。


逆に俺が混乱してしまい、脳内には疑問の波が押し寄せる。


こいつの思考回路はどうなってやがんだ?


「逆に吹っ切れました。これでもうあれこれ考えなくてすみますし」


「吹っ切れたって。お前、それって……」


「もしも逆転出来たら、打ち上げの焼き肉おごってくださいね。もちろん朝飛の分も込みで」


屈託のない笑みを浮かべると、結び直した靴紐を確認するように足首を動かす。


それじゃあ行ってきますと明るく告げて、タクはリンクに戻って行った。
< 346 / 400 >

この作品をシェア

pagetop