氷の女王に誓約を

ターンにステップ、イーグルを挟み、いよいよ最初のエレメンツへ。


徐々に盛り上げる音楽。


だが一旦音楽が静まると、代わりにトウを突く音が耳に飛び込む。


「……よしっ!」


着氷と同時に曲も爆発。客席からの悲鳴にも似た歓声と拍手も相まって、一気に会場のボルテージが上昇する。


4T成功。着氷後の流れもあって、完璧な四回転だ。


練習でもあれだけの四回転は跳べていない。ぶっつけ本番で成功させやがった。


選考会という呪縛から解き放たれお陰か? にしても、あの四回転は大介にも引けを取らない質の良いものだった。


スタートダッシュは申し分ない。勢いをそのままに、アクセルからのコンビネーションに挑む。


深いカーブをつけながら、前向きの態勢で右足を振り上げ跳躍する。


幅と高さがバランスよく調和されたジャンプ。
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