氷の女王に誓約を
朝飛のように一本調子ではなく、西野のように急停止急加速という荒技でもなく、自然な加速と減速を可能にしている。
柔らかなステップだ。音もなくターンをし、氷の飛しょうもほとんどない。まさに風そのもの。
ベルベットスケーティングだっけ? 弟君のネーミングセンスも馬鹿に出来ない。
謂い得て妙。ブレードと氷が一体化していて、まるで自分の手足のようにエッジを操っている。
難しいことを楽々とやってのけ、簡単そうに見せてしまう。
ロマンティックで、でもどこかメランコリックな主旋律。タンゴの魅力を存分に引き出している。
氷上に大きな円のトレースが出来上がると、奴の得意なスピンに入る。
バックエントランスのキャメルスピン。軸足を換えて前傾のシットの態勢に入るが、ポジションが定まる前に軸足と上半身をピッタリと付けたまま身体を横に倒すというポジション変化。
タクが考え出したキャノンボールスピンのオリジナル変形技。名付けてサイドカッタースピン。
さらに軸足を掴んだまま身体を起こし、上体を後ろへ反らすとフリーレッグのブレードを背後で掴んだ状態で腰の高さまで持ち上げる。