氷の女王に誓約を
セカンドジャンプに繋げなくていいため、思い切って踏み切る!
安定した回転軸に、調和した高さと幅。
まるで磁石のようにブレードが氷に吸い込まれて、音もなくピタリと降りると、そのままスゥッと流れて行く。
レベル4狙いのステップを踏んだ後だというのに、この完成度。疲労の色は一切見せない。
タクの最大の弱点は体力のなさだった。
柔軟性を殺さないために敢えて筋力トレーニングを極力避けたため、どうしても演技後半になると失速してしまう。
調子が良ければなんとか乗り切れるが、どうしてもギャンブルになり易い。
昨シーズンも、シーズン前半は万全の状態ではなかったため、FPでミスを連発し表彰台を逃すというケースがほとんどだった。
だがその弱点も改善された。
タクの成長期が完全に過ぎ去り、大人の身体になったお陰で体力の底上げが自然と叶ったというのもあるだろうが、一番の理由はやはりスケーティング技術の向上だろう。
僅かな力でよく伸びるスケート。それだけ力が温存出来る。