氷の女王に誓約を

指先から頭の天辺まで、全身をフルに使った激しいステップ。


それでも小川のように音もなくサラサラと流れて行くスケーティングは健在。


体力的にもっともキツイ終盤でも、奴のスケーティングは衰えない。


風を切るのではなく、風を纏うスケーティング。


ただ滑っているだけで、人を引きつけ魅せつけるスケーティング。


ラストに向けて曲調も盛り上げる。


段階的に曲のテンポも上がっていくが、タクのスケートも比例するように伸びて行く。


衰えるどころか良く動く。


動きには現れていないが、あれだけの運動量をこなしているのだ。体力も限界のはずだ。


それでもなお、タクのスピードは上がっていく。


気持ちよさそうに滑りやがって。あの顔は序盤のミスを忘れてやがる。


ラストはコンビネーションスピン。
< 357 / 400 >

この作品をシェア

pagetop