氷の女王に誓約を

まだ結論を出すのは早すぎるが……。


「おつかれ」


カバーを手渡してキス&クライへと促す。


席について受け取ったプレゼントを椅子に並べ終わると、ティッシュで額の汗を拭いだした。


「よくあれだけ動けたな」


「ですね。色々と吹っ切れたのが良かったんだと思います。あの時点で試合は決まってたし」


苦笑しながら答えると、ペットボトルの水を一口含んだ。


そうだ。もう試合は決まっている。


転倒に演技中断。いくら完璧な滑りを魅せても、このミスが消えるわけじゃない。


優勝はほぼ西野で間違いない。自力での五輪出場は叶わない。


重要になってくるのは順位。


最低でも羽生を抜いて二位にならなければ、自動的に西野と羽生が選ばれるだろう。
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