氷の女王に誓約を
これからの成長に期待しているのか、五輪での活躍を期待しているのかは定かではないが、ジャッジがタクに対して良い印象を持っていることは確かだ。
だから尚更、-2が惜しい。
減点がなければ……という“たられば”はスポーツに置いては愚問だろう。
転倒して逆に吹っ切れたからこそ、あの素晴らしい演技が出来たのだ。
俺も切り替えなければ。いつまで引きずった所で、過去の失敗を取り戻すことは出来ない。
そう、出来ないんだ。
頭をさっさと切り替えて、潔く諦めて、次のステップに進むしかない。
立ち止まってはそこで終わりだ。停滞しては、技術も表現も精神も成長しない。
そういう意味では、タクは立派なスケーターだと言えるのかも知れない。
常に次の未来を考えて行動している。
未来に生きているせいか、現在で暴走することも度々あるが、きちんとそれらを糧にして成長している。
俺に足りなかったのは、きっとそういう物だったんだ……。