氷の女王に誓約を

「五輪出場おめでとう」


美優は照れくさそうに微笑むと、ありがとうと嬉しそうに口にした。


「まだ喰ってないだろ。カフェでなんか食べる?」


「うん。食べる食べる」


そのまま一階のカフェへ移動。


チラホラとホテルの利用客がいたが、比較的空いていて俺達は人がいない窓際の席に着いた。


ホテル御自慢の日本庭園が良く見える。


季節は真冬。緑も紅も黄もない裸の木々は、どこか哀愁が漂っていて芸術的だ。これが“わびさび”というものだろうか?


この後エキシビションの練習があるため、軽い食事を選んだ。


俺はサンドイッチとコーヒー。美優も種類が違うサンドイッチとカフェオレを注文した。


「そういえば朝ちゃんは?」


「ん? 嗚呼、あいつはまだ寝てる。まだ時間あるし、起こさなくてもいいかなって」
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