氷の女王に誓約を

店員が慌てておしぼりを持って来てくれて、申し訳なさそうにそれを受け取るとテーブルに塗れたカフェオレを拭きだした。


「もう! タクちゃんのせいで赤っ恥かいたじゃない!」


「いや、まさかこんな大胆な反応をするとは夢にも思ってなかったから……」


一瞬なんかのコントを観ているようだった。綺麗に吹き出してたし。


だけどこの反応。やっぱりそうなんだ。


「で、本題に戻ろうか」


話を戻すと、途端に美優の顔が紅潮し出した。


初めて見る美優の表情。裸を見られて動じなかったあの美優が、あからさまに恥ずかしがっている。


貴重な光景だ。折角だから網膜に焼き付けておこう。


「な、なんでタクちゃんが知ってるの?」


「俺もつい先日知ったんだけどな」


あれは男子の試合が終わって数時間後の出来事。
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