氷の女王に誓約を
成長し世界を知った今の美優なら。スケートを愛して、人に“魅せる”ということを何よりも意識する美優なら。メダルよりも多分こちらの想いの方が強いだろう。
その夢を叶えるためには、まずは本人がその舞台を楽しまなければならない。
それに俺自身も、勝つことに執着し奮起する美優も好きだけど……。
「きっとファンも、美優が楽しんでいる姿を観たいはずだしね」
笑顔で心の底から楽しんで滑る美優の方が、何倍も輝いてる。
だから「楽しんでこい」と言った。
楽しむ美優を観たいから。美優に楽しんで欲しいから。
結局、スポーツって楽しんだもん勝ちだと思うのだ。
俺も朝飛も五輪には出場できなかったけど、全く悔いはない。
いや、少しはあるかな。特に朝飛が。
でも、不思議と心中は穏やかだ。多少の悔いはあるけれど、それでもどこかスッキリしているし納得もしている。
それは多分、思う存分楽しめたからだ。