氷の女王に誓約を

「……はぁ?」


この子は何を言っているのだろう? 疲労が蓄積して頭がおかしくなってしまったのだろうか?


きっと俺の聞き間違い。もしくは疲れているのは俺の方で、幻聴が聞こえたのかも知れない。


エキシビションが終わったら休暇をもらおう。そうしよう。


だから俺は美優に今一度聞き直す。


「俺がなんだって?」


「私のアシスタントコーチ就任。あっ、正確にはスケーティングコーチ就任? まあ肩書きなんてどうでもいいよね」


「確かにどうでもいいな。だが、コーチ就任の件は聞き捨てならない」


俺がコーチ? しかも美優の?


いらないだろ。俺の指導なんて一ミリもいらないだろ。


美優にはゴールドメーカーの異名を持つ世界的な名コーチ、タラソワさんが付いている。
< 380 / 400 >

この作品をシェア

pagetop