氷の女王に誓約を
【本当のおまけ】
五輪代表を正式に伝えられた羽生と大介は、代表発表の後別室に連行された。
これから連盟のお偉いさんと大人な話をしなければならないらしい。
大事な話を終えるとスタッフは外に出てしまい、部屋には羽生と大介の二人のみ。
残った理由は特にない。
ただ大介が何か物言いたげな表情をしていたので、羽生がさりげなく人払いをしてこの空間を意図的に作り上げたのだ。
大介は温かい緑茶を一口飲むと、羽生に睨みを利かせる。
羽生に対しては常に好戦的な大介だが、今回ばかりは勝ち誇ったような余裕が伺えた。
「足、大丈夫なんですか?」
無意識の内に右足のふとももを擦っている羽生に、大介は開口一番こう告げる。
「右太ももの肉離れと右足の小指の骨折。そんな状態で良くまとめられましたね。尊敬しちゃうなー」
後半が明らかに棒読みだが、羽生は意に介した素振りも見せず紅茶を口にした。
「それがどうしたって言うのかな~?」